プラダを着た悪魔 ネタバレ批評
◆あらすじ
名門ブラウン大学(映画版ではノースウェスタン大学)を卒業し、ジャーナリストを目指すために田舎からニューヨークへとやってきたアンドレア・サックスは、幸運にも何百万の女性の憧れとする仕事・ファッション雑誌『ランウェイ』の編集部へと就職した。しかもその編集長でファッション業界に対し絶大な影響力を誇る、ミランダ・プリーストリーのアシスタント職である。だが、ミランダは自分の身の回りの世話をアシスタントに押し付けるなどの横暴を発揮する最悪の上司であり、今までに何人もがこの仕事を辞めていたのであった。ファッションには何の興味もなかった彼女であるが、本来の目的である文芸誌での仕事への足がかりとして、彼女の悪魔のような要求に耐えていく。
今回は初めての映画レビューを書いてみようと思いますよ。
いやだって、プラダを着た悪魔本当に面白かったんですもの。
プラダを着た悪魔が公開されたのは2006年。ああ十年も前なのか・・・
十年前に何が会ったかって言うと、Wiiの発売も2006年ですよ・・・えっWiiってもうそんな前?
さて、この作品の主人公はアンドレア・サックス(演:アン・ハサウェイ)という女性。
あらすじにも書いてある通り、ファッション雑誌『ランウェイ』の編集部の採用面接にやってきました。
恥ずかしながら僕は頭のなかが空っぽなので、ハリウッド女優とか全くしらんでこの方も見覚えがなかったのですが、初見時・・・
えっ、仲間由紀恵!?
とか思ってしまいました。
いや、似てないと思うでしょ?顔だけじゃないんですよ。なんか序盤のひょこひょこした歩き方とか人になにか言われたあとの反応とかTRICKの仲間由紀恵そっくりなんですよ。
アンドレアはファッション誌の面接に来たにもかかわらず、ファッションセンスは全くありません。
ダサいというわけではないのですが、ファンション誌に身を置く周りの人間と比べると決しておしゃれとは言い難い。
案の定、編集長のアシスタントであるエミリーやその編集長ミランダから見た目について色々と皮肉を言われてしまう。
エミリー「アンドレア・サックス?」
アンドレア「はい!」
エミリー「素晴らしい。・・・これって人事部の悪い冗談かしら?」
この映画のいいところは、やはり登場人物の言い回しですね。
皮肉で物を伝えるというのはひねくれている感じもありますが、きつい言い方にはなりにくいので皮肉を使った論法はリアルでももっと使われるべき。
アンドレアはジャーナリスト志望で、ファッションに関して非常に疎い。
結局、編集長のミランダと面接するも、落とされてしまう・・・・
と思いきや、帰る直前でエミリーに引き止められます。
何故受かったのか、彼女もわからぬままに。
◆アンドレアの恋人ネイト
アンドレアには二人の友人と恋人がいました。
とても仲が良い様子で、いつものこのメンツで集まっているようです。
ファッション雑誌に就職したことについて、ファッションに疎いことを誂われながらも友人たちはアンドレアを祝福します。
恋に仕事に頑張る女性を応援するようなこの映画では、やはり恋人の存在は不可欠というわけですね。
◆場をわきまえないアンドレアが笑いを誘う
仕事をしだしたアンドレアですが、何の知識もなく、そして見たところ社会的マナーもあまりなっていない彼女がわちゃわちゃしているところはこの映画の最初の見どころとなっています。
アンドレア「ミランダのオフィスです……今会議中なので伝言をお伝えしますが……ええ……わかりました…それでガッバーナのスペルは?」
ガチャ ツー ツー
アンドレア「…切れたわ」
ガッバーナという言葉自体を知らなかったり・・・・
会長がエレベーターから出て行ったあとで、腕を組んだり。
会長出て行っても目の前にはまだ上司(ナイジェル)がいますけんね…
◆仕事に耐え忍ぶアンドレアとその限界
編集長のミランダは傍若無人。
早口に要件を伝えてはそれをすぐさまやるように言ってくる。
中には仕事とは関係ない私情のものもあるが、それがアシスタントとしての仕事である。
膨大な量の雑用を熟しても、ミランダはアンドレアに労いのひところもかけない。
そんな中でアンドレアはミスとも言い難いミスを犯した。
遠方へ出張に出ていたミランダが悪天候で飛行機が出航できず帰れなくなり、その手配をアンドレアに頼んだ。アンドレアは無理を承知で色々試すが、結局欠便で飛行機は出ない。
ミランダは帰れず、娘達の演奏会に出席することが出来なかった。
ミランダはアンドレアに失望し、アンドレアもどうしようもなく泣き出してしまいます。
泣きながら行き着いた先は、先ほどエレベーターに居合わせたライジェル。
アンドレア「・・・ミランダに嫌われた」
ライジェル「・・・それは私の問題か?いいや違う私の問題じゃない」
アンドレア「もう私どうしたら良いか分からない・・・」
いやなんつーか、話に行けるのがスゴイね。
ライジェルは有能な先輩上司ですよ。友達じゃないよ?
しかもライジェルとても忙しそうよ?
言うほど仲いいわけでもない人に相談しに行けるその度量スゴイ。
それともアメリカはそんな気軽に相談に行ける感じなのかな?かな?
ともかく仕事中のライジェルにミランダの愚痴を言いまくるアンドレア。
ライジェル「じゃあ辞めろ」
アンドレア「へぇ…?」
ライジェル「君の代わりは五分で見つかる。喜んで働いてくれる子がね」
アンドレア「なんで私が辞めなきゃいけないの!私はただ…努力を少しは認めてほしいだけ」
ライジェル「アンディ…いいか君は…努力してない!私に何を行って欲しい?慰めて欲しいのか?『ミランダにいじめられて可哀想になアンディ』・・・目を覚ませ!彼女は仕事をしているだけだ!君が働いているここの雑誌は、正規のアーティスト達の作品を掲載した。ホルストン、ラガーフェルド、デ・ラ・レンタ。彼らが残した功績、創造したものは、美術品より偉大だ。
(中略)
君は如何に多くの伝説がここを歩いたか知らないし、関心さえない。命を投げ出しても皆が働きたがるこの職場で、君は働いて”くださって”るんだもんな。そして何故彼女が褒めてくれないのかと嘆く。『宿題をしても額にキスしてくれない』とね。
・・・甘ったれるんじゃない。」
これを聞いたアンドレアは、心を入れ直します。
どうすれば良いのか。
出した結論は、ライジェルに助けを借りることでした。
・・・ライジェル上司だよね?いい人すぎるやろ
◆アンドレアの変化と周りの反応
ライジェルに服の選別に付き合ってもらい、高級ブランド品を身に纏う様になります。
・・・ここ上手く読み取れなかったんですけど、まさか買ったわけじゃないよね?そんな高いものいっぱい。
見たところブランド品があったのは社内の倉庫?保管庫?のような場所だったので一時的に借りることにしたのでしょうか。・・・そんな簡単に借りれんの?
これは断髪のような、アンドレアの一つの覚悟だったのだと思います。
まずは身の回りを変えることで、中身も変える。
今まで興味がなかったものに対していっそ突っ込んで見る。奥深くまで。
身に付けるものを高級品に変えたアンドレアは、立ち振舞から変わることとなります。
その姿は宛らハリウッド女優。以前のTRICKの仲間由紀恵に似ていたダサい彼女の姿はありません(仲間さんをダサいとは決して言っていません)。
序盤の見どころがアンドレアのダサさなら、中盤の見どころはアンドレアの綺麗さでしょう。
映画そのものがアン・ハサウェイのファッションショーと化します。
その美しさはファッションに興味が無いものでも感心すること間違いないでしょう。
服を変えたことで、会社内の人間も彼女を見る目が代わります。
もちろん、周りだけ変えても意味は無いのですが、不思議なことに仕事も要領よく熟すようになっていきました。
でも実際そういうこともあるかもしれませんよね。形から入るのはとても大事。
しかし、見る目が変わったのは会社内だけではなく、友人や恋人も同様。
四人で飲んでいたのですが、そこに仕事の電話。
その電話を友人が誂って渡さなかったことが、アンドレアを怒らせました。
アンドレアはもう以前とは違います。ブランド品を鼻で笑ってバカにするような女性ではなくなっていたことに、友人たちも少しぎこちなさを感じているようでした。
◆ミランダに嫌われたアンドレア
仕事をこなせるようになってきたアンドレアはミランダに資料を家に届けるに言われました。
プライバシーを気にするミランダがアンドレアを家に呼ぶことは、ある程度認められた証拠でもありました。
これに喜ぶアンドレアでしたが、ここでとんでもないミスを犯してしまいます。
所定の場所に置いてくるように第一アシスタントのエミリーに言われましたが、何処に置けば良いのかわからない。
というのも、エミリーに言われた所定の場所に該当する場所が複数あって何処に置けばいいかわからなくなってしまったのです。
これはエミリーのミスとも取れますが、迷った結果、ミランダの娘達に嵌められて2階へ上がってしまいます。
2階では、ミランダが夫と喧嘩をしていた。それを目撃したアンドレアと、アンドレアと目が合うミランダ・・・・・
プライバシーを気にするミランダにとって、これはとてもショックな事でした。
このことがきっかけで、ミランダはアンドレアに無理難題を突き付けます。
「出版前のハリーポッター新刊を、ここに持って来い」
暗にクビと言ってますねこれ。
◆ところどころに垣間見えるエミリーの優しさ
仕事をこなしながら、ミランダに言われた無理難題を解決しようと奔走するアンドレア。
序盤のわちゃわちゃ感がここに来て復活したようです。
そんな彼女を見て、エミリーはこう言います。
エミリー「こんなこと、他人には滅多に言わないんだけど・・・少し落ち着いたほうが良いわ…ムカツクのよ…」
序盤でアンドレアに仕事を教えているシーンでもそうなんですけど、エミリーはキツイ表情でキツイ声色で話すせいで怖く見えるのですけど、本質を見ると結構優しいんですよね。
ちゃんと教えて激励してあげたり、起こると思えば心配して落ち着かせたり。
この映画の魅力の一つとしてエミリーは外せません。エミリーに限りませんが。
◆仕事の好調、人間関係の不調
なんやかんやあって、なんどアンドレアはミランダの無理難題を解決します。
これにはミランダも驚きぐうのネも出ません。
出来なければクビにしていたのでしょうが、ミランダは以前のミスを不問としアンドレアをまだ雇うことにしました。
そんな仕事に必死のアンドレアですが、それがまた不幸を呼びます。
彼氏のネイトの誕生日に仕事が入ってしまい、彼の誕生日を祝うことが出来ませんでした。
これにはネイトも不貞腐れてしまいました。
・・・向こうの国では誕生日を祝うことはかなり大きいことなのでしょうかね?
僕はあまり祝われたことがないのでここの感情移入はちょっと出来ませんでした。
さらに、パリコレにミランダの付き添いで行くのが第一アシスタントのエミリーではなくアンドレアに決定。
エミリーはパリに行くことをずっと前から思い描いていましたが、ここ最近のアンドレアの仕事ぶりから彼女が外されてしまった様です。
アンドレアは断ることも出来ましたが、ミランダ「将来を考えなさい」という一言に悩んだ末、行くことに決めました。
次の日、エミリーにそのことを伝えようと電話している最中に、エミリーは事故に会い入院。とてもパリに行ける状態ではなくなる。
友人や彼氏も、仕事がうまくいき社会的に高みへ行ってしまったアンドレアと上手くいかず、暫く別れを告げる事となりました。
仕事は上手く行っているのに、その他が疎かになる。
もやもやを抱えたまま、アンドレアはパリに向かいました。
・・・アンドレアは、以前とは変わりました。
見た目も、能力も、考え方も、社会的地位も。
それは良いとか悪いとかではありません。
ただタイプが変わっただけなのです。
しかしそのせいで、どこか歯車が狂ってしまうことはある。
その歯車が狂うことは、この先良いことになるのかそうではないのか。
それは誰にもわかりません。
◆アンドレアは昔のミランダ?
パリでアンドレアは、ミランダの本質を知ることとなりました。
自分が編集長解任させられることを知り、後任の編集長になる予定のジャクリーヌ・フォレに別の席を用意します。
しかしその席は、元はナイジェルが座るはずだった場所。
前夜アンドレアとナイジェルはその事を話し、ナイジェルはとてもうれしがっていました。
ミランダは、自分の身を守るためにナイジェルの出世を犠牲にしたのです。
これに対し、納得の行かないアンドレアでしたが、ミランダにこう言われます。
ミランダ「まさかこんなことを言う日が来るなんて・・・でもほんとに・・・あなたは私によく似てるわ」
アンドレア「私はそんな人間では・・・私はナイジェルにあなたがしたような仕打ちは出来ません」
ミランダ「ふぅ~ん・・・でももうやったじゃない。エミリーに。」
「・・・あなたが決めたのよ。先に進むために」
これを聞いたアンドレアは、ミランダのそばを離れます。
仕事ができるようになり成長した彼女は、また一から進むことを決断したのです。
ミランダからの着信。アンドレアは携帯を泉に放り投げました・・・
◆また一からやり直し。でも・・・・
アメリカに帰国し、会社も退社。
元カレのネイトともやり直し、目指していたジャーナリストを再び目指すことに。
マスコミに面接に来たアンドレアは、ランウェイでのミランダと過ごした時間を話します。
人事はそれに対し、ミランダから既にメッセージを受け取っている、と。
人事「今まで雇ったアシスタントの中で、君には一番失望させられたと。そして・・・君を雇わなかったら大馬鹿者だとね」
晴れてアンドレアはジャーナリストになる。
ランウェイでの経験は貴重なものだったと噛み締め、この映画は終りを迎えました。
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【感想】
えー、レビューを書こうと思ったんですが、なんでこんないっぱい書いちゃったんですかね。
もうネタバレの内容書いちゃってますし趣旨変わってしまいました。
しかもところどころ省いているので、中身はすっからかんです。どうもすみません。
ともかく、面白い映画でした。
映画というものは、好きな映画と面白い映画は必ずしも合致しません。
例えば僕はファイトクラブが好きですが、面白いかどうかと言われれば微妙です。
多分映画は面白いという感情以外にも重要視されることがある。
しかしプラダを着た悪魔は、間違いなく面白いといえる作品だ。
なにより、キャラクターが良い。
世間知らずのアンドレア、厳し非常ながらも皆のあこがれである仕事の鬼ミランダ、きつそうに見えてとても優しく可愛らしいエミリー、頼りになり力になってくれるライジェル・・・
仕事に必死だったアンドレアに不機嫌だった友人や彼氏に対して「心の狭い」と言う人もいるかも知れないが、そこも人間らしくてよかったと思う。あれはむしろ物分りが良いほうがつまらない。
最後、アンドレアが去り一人になったミランダの姿は、少しさみしそうでした。
今までも色んな人が彼女から去っていったのでしょう。
ミランダは仕事に孤軍奮闘する人生をこれからも歩んでいくのかもしれません。
映画は僕の中では2タイプあり、面白い映画と学べる映画があるんですが、今回は間違いなく前者でしたね。
そして、仕事に対するプロ意識というものも学べる映画でもありますので、どうか気軽にみてみて下さい。
後悔はしないはずですよ。
ここまで読んでくださってありがとうございました。