僕が無免ライダーを嫌う理由
こんにちは、死に起きです。
皆さんワンパンマン、知ってますか。
作者のONEさんが元々WEB漫画として描いていたものが作画の村田雄介さんの目に止まり、ヤングジャンプで連載からのアニメ化まで行ってしまった作品です。
僕はWEB漫画の時から読んでました。面白いですよ。
名前の通り、主人公が悪をワンパンチで倒すというシンプルかつ痛快な設定。
主人公最強系の漫画って、結構難しいものだと思っているんですよ。
最強ってことはどのバトルにも苦戦しないということなんで、バトルに緊張感がない。
作者の妄想を具現化して俺TUEEEEEEEE系の主人公がモテモテ、みたいなものって気持ち悪さとか感じますしね。
魔法科高校の劣等生なんかもその類なのかな…?アニメ少し見て嫌悪感MAXだったんで見るのやめたんですが。
でもワンパンマンにはそういう嫌味がない。
少なくとも作者が主人公に自己投影して妄想を発表しているようには全く感じられない。
ワンパンマンが嫌いな人っていうのはめったに見ないですね。
昨今の漫画は主人公に嫌悪感を抱くものばかりなのでワンパンマンの主人公サイタマ先生にはホント感謝しきれない。
さて、今回はワンパンマンに出てくるあるキャラクターについてです。
そのキャラとは…
真の正義の心を持つヒーロー、無免ライダー
ヒーローなのに無免でライダーかよ、と思うかもしれませんが彼が乗っているのはバイクではなくチャリなので大丈夫です。
ヒーローはS級、A級、B級、C級とランク分けされていますが、無免ライダーはC級1位。
ヒーローの中では決して強いとは言えないレベルです。
そんな彼ですが、災害レベル竜の怪人、深海王と戦う場面があります。
災害レベル竜は幾つもの街が壊滅する危険性があるほどの危機。
多くのA級ヒーローが深海王にやられてしまいました。
A級ヒーローですらやられてしまうのに、1位と言えどC級の無免ライダーが深海王に敵うはずがありません。
無論、無免ライダーはボコボコにされてしまいますが・・・
しかしそれでも深海王に立ち向かいます。
うう・・・期待されてないのはわかってるんだ・・・・
C級ヒーローが大して役に立たないなんてこと・・・俺が一番良くわかっているんだ!
俺じゃB級で通用しない・・・自分が弱いってことは・・・ちゃんとわかっているんだ!
俺がお前に勝てないことなんてことは・・・俺が一番良くわかってるんだよォッ・・・!
それでも・・・やるしかないんだ・・・俺しかいないんだ・・・!
勝てる勝てないじゃなく・・・ここで俺はお前に立ち向かわなくちゃいけないんだ!!!
熱いですね…
結局無免ライダーは負けてしまうのですが、助かった市民と視聴者の心には彼の勇姿が刻まれました。
Twitterで彼の名を検索すると賞賛の声ばかりが上がっています。
しかし・・・・
僕無免ライダー大っ嫌いなんですよ!!!
なんで!?と思われるでしょう。
ツイートには「無免ライダーを嫌いな奴とは友だちになれない」ともありました。
でもまあちょっと話だけでも聞いてみてください。
◆無免ライダーのどこがカッコイイのか
嫌う理由の前に何故無免ライダーが人気なのかを考えましょう。
って考えるまでもないのですが、至ってシンプル。
彼は勇者だからです。
弱いということは当然殺される可能性もあったわけで、それでも痛みに耐え立ち向かうということは誰にでもできることではありません。
そして、これは僕が勝手に言っている造語なのですが、「惨めカッコイイ」というかっこよさを持ってるんですよ。
無免ライダーはボロボロに負けて、惨めです。周りがそう思わなくとも、彼自信は自分が嫌で嫌で仕方なかったかもしれません。
これ、僕大好物なんですよ。
僕自身、この社会では弱者です。惨めです。恥ずかしい人生を送っていると思います。
なので「惨めだけど立ち向かう」っていうキャラクターに感情移入してしまうんですよ。
このようなキャラは他にもいますが、それは後述します。
ともかく、視聴者は無免ライダーの「立ち向かう心」…ジョジョで言えば黄金の精神に惚れた、ということでしょうね。
◆勇者なのは無免ライダーだけではない
視聴者は彼の黄金の精神に感銘を受けました。
ですが今一度よく考えて欲しいのです。
果たして勇者だったのは、無免ライダーだけだったか?
そんなことはありません。
たとえA級だろうとC級だろうと、深海王に立ち向かったヒーローには皆強敵に立ち向かう強き心を持っていました。
無論、弱いヒーローほどその勇気を振り絞ったかもしれません。
しかし、弱いことは免罪符にはなりません。
彼らはヒーローなのです。ヒーローならば弱いことに甘んじていてはいけない。
・・・まああの世界観だと努力でどれだけ強くなれるかわかりませんが(サイタマの努力とか完全にギャグだし)。
実際A級ヒーローも殺されていた可能性は同じくあったはず。だって負けたんですから。
つまり、勇者であったことを褒め称えるなら、深海王に立ち向かった全てのヒーローに賞賛を送らなければいけないはず。
だのに、多くの観客(市民)の前で、いいところだけ見せた無免ライダーだけがあれだけ人気になる。
僕はこれに憤慨しているんですよ。
わかりやすく例を出しましょう。
この画像、見たことがお有りでしょうか。
こち亀の両さんが「不良が更正することに対して必要以上に褒めること」を間違っていると指摘しています。
これには誰もが賛成しますよね?
でもこれ、無免ライダーにも言えませんか?
不良→更正=めっちゃ偉い
の流れが、無免ライダーの場合は
弱者→立ち向かう=めっちゃ偉い
になってるんですよ。
いやもちろん偉いんですよ!たださっきも言いましたけど、他のヒーローも偉いんですよ!
要は「→」の差が大きければ大きいほど、人はその頑張りを評価する傾向があるってことです。
心理学ではこれを「ゲインロス効果」と呼びます。
「弱くて戦う」より「強くて戦う」の方が評価されるべきでしょう。
なぜなら弱くあることは誰でもできるからです。
「無免ライダーが時間を稼いだからサイタマが間に合った」とも言いますが、A級のスティンガーさんだって無免ライダーの何倍も時間稼いでるじゃないですか。
◆向上心がないヒーロー
まあでも別に、弱いことが絶対に駄目だとは言いませんよ。
ライダーだってC級と言えど一位であり、そんじょそこらの人間よりは強いと考えられます(いつも格上とばかり戦うからいまいち強さがわかんないけど)。
だとしてもです。
ヒーローが弱さに甘んじていていいのか?
もし…もしですよ。
アレだけ惨めな思いをして、自分の弱さに打ちのめされた。
そんな彼が深海王との戦いの後、「自分の弱さが許せない…!サイタマくんがいなければ結局オレは市民を一人も守れなかった!」と悔しがっていたならば、僕も応援しただろう。
「私は何もしていない。賞賛は僕ではなく、僕の以外のヒーローに言ってやってくれ」など言ったなら、俺も好きになっていただろう。
しかし
普通におでん食ってる。
悔しくないわけお前!?なんでそんな平然としてられるの!?
そこはサイタマが来て「俺は…何も出来なかった…君が全てやってくれた…」とか泣きながらいうところじゃないの!?
もうね、なんだか無免ライダー計算して名誉を集めてんじゃないかって気がしてきたよ。
弱いほうがちょっと頑張っればすぐ認められるからさ~wwwみたいな・・・
嫌だ・・・・そんな無免ライダー嫌だ・・・・
ちなみに、この後で成長したかというと深海王よろしくガロウに病院送りにされました。
これ以上生き恥晒さないほうがいいんじゃないの・・・?
◆弱いのはいいけれど弱いままでは駄目
仮に、深海王級の怪人が幾度も攻めてきたとしましょう。
もちろん無免ライダーは勝てません。
それでも多分同じ言葉を吐くんでしょう。
「勝てる勝てないではなく」と。
市民からしたらどうですか?
結局無免ライダーは勝てないのにやってきて、直ぐやられる。そのくせ生き残る。
もしかしたら市民が死んだかもしれません。子供が怪人にやられたかもしれません。
そんな子供を失った親は、無免ライダーの言葉に感動するでしょうか。
その前にこう思うはず。
「なぜもっと強くいてくれなかったんだ・・・ッ」と。
もうはっきり言います。
ヒーローは弱くちゃ駄目なんですよ。
さっきは弱くても仕方ないと言いましたが、やっぱり弱くちゃ駄目。
少なくとも、ヒーロー自身が「弱くちゃ駄目だ!」と思ってないと駄目でしょ。
弱いヒーローなんて、絵の描けない画家。コードの分からないプログラマー。ルールの分からないカジノディーラーと同じです。
弱かったら、ヒーローの仕事ができないでしょう。
おでん食ってる無免ライダーを見てると「別にそれなりの問題は解決してるし、そんなに強くならなくてもいいでしょ」って考えてるように思えちゃうんだよ。
弱くちゃ駄目だって、考えてないでしょ。
◆勇者であることに意味がある!しかしヒーローは・・・・
最強伝説黒沢という漫画が大好きなのですが、今回はその漫画から少し引用させていただきます。
暴走族との抗争でボロボロになった黒沢はこう言います。
「実は…買った負けたは二番目…その前に戦うこと自体に意味がある…!」
力強い言葉です。
でも勘違いしないで下さい。
「勇気があれば弱くてもいい」とは一切言っていません。
無免ライダーの行動は、「勇気を出すだけで弱い」んですよ。
匹夫之勇というやつです。
だのに、弱いものの勇気は何故校も評価されるのか…僕は引っかかって仕方がないのです。
◆まとめ
・無免ライダーは勇者であったが、それは他のヒーローも変わらない
・強いヒーローと弱いヒーローであれば、当然前者が評価されるべきである
・弱さに甘んじて強くならないヒーローはヒーローではない
・勇気は大事だが、勇気があればどうでもいいなんてことは一切ない
以上となります。
勇気のあることは素晴らしいことです。僕も深海王に立ち向かう無免ライダーの姿には泣きそうになりました。
しかし、弱いからといって評価されるのは歪んでいる。
黒沢は「勝敗は二の次」と言いましたが、それでも二です。
強くあり、勝つことを度外視することは間違っています。
結果が全てとは言いませんが、結果は大事なのですよ。
それではまた。